美しい母の顔

もう10年以上も前になる。明け方、パチパチとする音に目が覚めた。窓を開けて音のする方角に目をやると、炎と煙が上がっていた。家事だ! 急いで家族を起こし、パジャマのまま一目散に走り、ご近所に火事を知らせるべく叫んでまわった。数時間後だっただろうか、消防による消火活動により鎮火した。出火元の家族も無事に逃げ出した、かの様だった。が、その後、隣家に逃げた息子さんがまだ家の中にいると思った父親が、燃え盛る炎の中に飛び込み命を落としたことを知った。子どもの為ならば命をも厭わない親の愛は、かくも尊いものなのだ。

ここ数年、幼女や少女が犯罪に巻き込まれる事件が相次いでいる。家族の絆の大切さが見直され、世の中がまともになる方向に舵を切ったかの様に感じたが、現実は深刻さを増すばかりの様に感じて仕方がない。これからは、家族の絆はもちろん、隣近所とのつきあい方。更にはコミュニティの在り方に至る、あらゆる世の中の仕組みを見直す必要があるに違いない。

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