家族を包む夫の愛

今から7年前。母は誕生日に交通事故に遭った。自転車で走行中、トラックに接触し、倒れたのだ。寸前のところで頭を縁石にぶつけず、生命を失うことも、大きな怪我もしないで済んだ。が、その翌日、父が眠るようにして亡くなった。母は言った。「私の代わりに逝ったんだね。」長年連れ添った夫婦は、目には見えない、神秘的な何かで結ばれていると思わざるを得なかった。

科学が発達すればするほど、科学で解明できることが増えるのと同時に、一方では、科学では解明出来ないことも明らかになってくる。人間の生と死の問題は、とりわけその一つと言えるだろう。家族や友人との絆が深まれば深まるほど、いつまでも苦楽を共にし喜びを分かち合いたいと願い、永遠の世界を求める。深く愛し合う夫婦は、「死が二人を分かつまで」ではなく「死が二人を分とうとも、永遠に」続く愛を求めて止まない。

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