レジーナ・ハートリー: 最高の人材の履歴書が必ずしも理想的でない理由

学習塾の教室長をしていた頃のこと。春先にアルバイト講師を募集した。様々なタイプの学生を雇うこととなったのだが、その内、3日で辞めた一人の青年のことを思い出した。『どうしてわからないのかわかりません・・・』。都内の超有名大学の英文科に通い自信満々だった彼が始めて味わった挫折だったろう。あれから会ったことは一度もない。レジーナ・ハートリー女史のプレゼンで語られる苦難ほどでは無いにしろ、その後、鍛えられて、職場で活躍されていることを願ってやまない。

 

人間はとかくレッテルを貼りたがる。身近な人はもちろん、自分自身においても、『私は・・・』という風に。相手が誰にしろ、自分自身にしろ、一度貼ったレッテルは剥がしにくい。ワダチに車が取られるように、レッテルの枠にはめようはめようとして思考や感情が誘導されてしまうのだろう。脳の仕組みがそうなっているのだろうか? 潜在意識がどうしたこうした、と説くものの本もある。

 

自分で貼ったネガティブなセルフイメージは、変えようとしても、これがなかなか難しい。そこに、カウンセリングやら、コーチングやら、NLPやらが登場するのだが、そこに関心を持ち行動できるくらいならまだいい。そのこと自体が、既に変化の始まりの様なものだからだ。しかし、現実は厳しい。そこへ関心を持つことさえハードルが高い。まずは、困難を克服した人々の話をたくさん聴いてみることだろう。

 

そして、こういった話は、夫婦や親子に始まる、複雑で深淵な様々な人間関係においても立ち向かう勇気を与えてくれるに違いない。

【内容】

完璧な履歴書を持つ候補者と、困難を戦い抜いてきた候補者のどちらかを選ぶことになったとき、人事部長のレジーナ・ハートリーは常に「闘士」にチャンスを与えると言います。自身逆境を生き抜いてきたハートリーは、最悪のところから這い上がってきた人には変化し続ける仕事環境を耐え抜ける力があると知っているからです。彼女はアドバイスします。「過小評価されている候補者に目を向けてください。彼らの秘密の武器はその情熱と目的意識です。闘士を採用しましょう」

レジーナ・ハートリー女史のプレゼンから

私は5人兄弟の4番目で、シングルマザーに育てられ、ニューヨーク市ブルックリン区の治安が悪い地域で育ちました。私たちには持ち家も、自家用車も、洗濯機もなく、子供時代を通して家には電話機さえありませんでした。だから私は仕事での成功と「闘士」の関係について大変興味がありました。私の人生は大きく違っていた可能性があったからです。

私は、成功した実業家に会ったり優れたリーダー達の経歴を読むうちに、彼らの共通点に気付きました。彼らの多くが若くして苦難の時期を経験していたのです。貧困、親による育児放棄、子供の頃の両親との死別、学習障害、アルコール依存症、暴力などです。

伝統的な考え方では、トラウマは後の人生に苦難をもたらすものとされ、その結果生じる機能障害に焦点が当てられてきました。しかし、機能障害の研究が進むと調査データから予期せぬことが明らかになりました。最悪の状況においてさえ、人は成長し変貌を遂げうるということです。

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