妻の遺影と旅行するある男性の実話

以前、極めて稀な、しかも特殊な体験をした。

その日、私はある会場での周年行事参加のため、電車に揺られながら向かっていた。これまでの人との出会いを振り返りながら。
ふと、かつて、お世話を、いや、お世話になった一人の後輩を思い起こしていた。彼の奥さんは数年前に交通事故で他界していた。元気でいるだろうか、と。
 
乗り換え駅のホーム。遠くから見覚えのある一人の男性が近づいて来た。今し方、思い起こしたばかりの後輩だ。不思議な事もあるもんだと思いながらも、思い出話をしながら一緒に会場に向かった。
 
会場での行事が始まり、他界された方々の紹介となり、後輩の奥さんが紹介されたその時だった。
 
「隣の席の荷物をどかしてください。奥様が座っています。」
 
後ろに座っていた一人の女性が彼の肩をたたき、声を掛けたのだ。訊くと、初対面なのでおかしいと思われてはと躊躇していると、勝手に手が動いたのだという。

「妻の遺影と旅行するある男性の実話」を観て、ふと、以前のこの出来事を思い出した。ひょっとしたら、“ある男性”の隣の席には・・・
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